「もっと給料が高ければ貯金できるのに…」
そう思うことは珍しくありません。
もちろん収入が増えれば有利ですが、実は資産形成では「いくら稼ぐか」以上に大切な数字があります。
それが貯蓄率です。手取りの何%を将来のために残せるか。
この考え方を知るだけで、お金との向き合い方は大きく変わります。
今回は、収入が高くなくても資産を増やしていける理由を、数字を交えながら紹介します。
「収入が低いからお金が貯まらない」は本当?
「もっと給料が高ければ、お金は貯まるのに…。」
そう思ったことは、一度はあるかもしれません。
もちろん、収入が増えれば家計には余裕が生まれます。しかし、実は「収入が多い=お金が貯まる」とは限りません。
資産を増やせるかどうかは、年収だけで決まるものではないからです。
まずは、「収入が低いから無理」という思い込みを、一度手放してみましょう。
理由①:年収1,000万円でも「資産ゼロ」の人は珍しくない
「年収が高い人は、お金に困らない。」
そう思われがちですが、実際はそうとも言えません。
収入が増えると、人はその生活に合わせて支出も増やしやすくなります。これを「パーキンソンの法則」と呼びます。
たとえば、家賃を少し高い部屋に変えたり、車を買い替えたり、外食や旅行の回数が増えたりと、「今なら大丈夫」という気持ちから、少しずつ生活水準が上がっていきます。
また、「年収に見合った生活をしなければ」「人からよく見られたい」という気持ちが働くこともあります。
こうして支出が増えていくと、収入が増えたはずなのに、お金が思うように残らないということも珍しくありません。
さらに、年収が上がるほど所得税や住民税などの負担も増えていきます。
つまり、「たくさん稼ぐこと」と「たくさん資産が残ること」は、まったく別の話なのです。
本当に大切なのは、毎月どれだけ収入があるかではなく、その中からどれだけ未来のために残せるかという考え方です。
理由②:一番もったいないのは「どうせ無理」と始めないこと
「手取りが20万円しかないから無理。」
「昇給もしないし、投資なんて関係ない。」
そう思って何もしないまま時間が過ぎてしまうことが、一番大きな損失です。
資産形成は、一気に大きなお金を作ることではありません。
毎月少しずつ積み重ねることで、時間を味方につけながら育てていくものです。
だからこそ、最初から大きな金額である必要はありません。
毎月1万円でも、5,000円でも、決まった金額を残せているなら、それは立派な一歩です。
実際には、毎月貯金ができず、生活費だけで精一杯という人も少なくありません。
だからこそ、「少しでも残せている」という事実は、自信を持っていいことです。
大切なのは、他人の年収や貯金額と比べることではありません。
今の生活の中で、できる範囲を続けていくことです。
資産形成は「今いくら持っているか」よりも、「今日から行動を続けられるか」の積み重ねで、少しずつ未来が変わっていきます。

「収入額」より「貯蓄率」が人生を変える
収入が多い人ほど資産が増えるように思えますが、実際に大切なのは「いくら稼いだか」ではありません。
本当に見るべき数字は、「手取りの何%を未来のために残せているか」という貯蓄率です。
収入は会社や景気の影響を受けますが、貯蓄率は毎月の家計の工夫やお金の使い方で少しずつ変えていくことができます。
ここからは、なぜ貯蓄率が資産づくりの大きな差になるのかを見ていきましょう。
お金持ちになれるかは「手取りの何%を残せるか」で決まる
貯蓄率とは、手取り収入のうち、どれだけを貯金や投資に回せているかを表す割合のことです。
たとえば、月収50万円で毎月5万円を貯めている人の貯蓄率は10%です。
一方、月収25万円でも毎月10万円を貯めていれば、貯蓄率は40%になります。
収入だけを見ると前者の方が豊かに見えますが、資産づくりという視点では後者の方が早いペースでお金が増えていきます。
この考え方は、「日本資本主義の父」とも呼ばれる本多静六氏の著書『私の財産告白』でも紹介されています。
本多静六氏は、収入が入ったらまず四分の一(25%)を先に貯める「四分の一天引き法」を実践していました。
さらに、賞与や臨時収入もできるだけ使わず、そのまま貯蓄に回します。
そうして作ったお金を「種銭」として育て、時間と複利の力で資産を大きくしていくという考え方です。
この方法は、特別な才能や高収入が必要なものではありません。
毎月先に残す金額を決めるだけなので、誰でも今日から始められます。
書籍では、この考え方が実体験とともに語られており、今読んでも色あせない内容です。
『私の財産告白』(著者:本多 静六)
生活費が少ない人ほど、将来必要なお金も少なくなる
貯蓄率が高い人は、お金が貯まりやすいだけではありません。
将来必要になるお金そのものも少なくて済みます。
たとえば、毎月30万円ないと生活できない人と、18万円で満足して暮らせる人では、老後に必要な生活費は大きく変わります。
必要な生活費が少なければ、その分だけ目標とする資産額も小さくなります。
だからこそ、無理に高い利回りをねらったり、大きなリスクを取ったりしなくても、毎月の積立を続けるだけで十分に目標へ近づくことができます。
また、必要なものだけを選んで暮らせる人は、お金だけでなく心にも余裕が生まれます。
「あれも欲しい」「これも欲しい」と次々に買い続ける生活は、一時的には満たされた気持ちになっても、その満足は長く続きません。
気づけば、また別のものが欲しくなり、お金も時間も少しずつ失われていきます。
一方で、本当に必要なものを選び、「これで十分」と思える暮らしは、自然と支出も落ち着きます。
これは「足るを知る」という考え方にも通じます。
お金をたくさん使うことが幸せなのではなく、自分にとって必要なものを知り、お金と欲望を上手にコントロールできることが、長く安心して暮らせる土台になります。
結果として、お金の不安も減り、資産も心も少しずつ豊かになっていくのです。
収入が増えない前提で「貯蓄率」を高める3つのステップ
貯蓄率は、特別な才能や高収入がないと上げられないものではありません。
大切なのは、一度に大きく変えようとするのではなく、できることを一つずつ積み重ねることです。
少しでも貯蓄率が上がれば、その分だけ未来の自分へ渡せるお金が増えていきます。
ここでは、今日から始められる3つのステップを紹介します。
ステップ①:現状の「自分の貯蓄率」を計算してみる
まずは、今の自分がどのくらいのお金を残せているのかを知ることから始めましょう。
貯蓄率は、次の計算式で簡単に求められます。
貯蓄率=(毎月の貯金額+投資額)÷ 手取り月収 ×100
たとえば、手取り20万円で毎月2万円を貯金や投資に回しているなら、貯蓄率は10%になります。
最初から細かく家計簿をつけたり、1円単位まで計算したりする必要はありません。
「毎月だいたいこれくらい使っている」「これくらい残せている」という大まかな数字がわかれば十分です。
現在地が見えてくると、「あと3,000円残せば目標に届く」「今月はコンビニを一回我慢すれば達成できそう」といった、小さな工夫が見えてきます。
目標は、簡単すぎても気が緩みますし、苦しすぎると続きません。
初心者なら、まずは貯蓄率10〜20%を目安に、「少し頑張れば届きそう」と思える金額を目標にしてみましょう。
ステップ②:生活レベルを下げずに「固定費」を見直す
貯蓄率を上げるなら、まず見直したいのが固定費です。
食費を毎日我慢したり、趣味を全部やめたりする節約は、長く続きません。
その点、スマホ代や保険料、使っていないサブスクなどの固定費は、一度見直せば、その効果が毎月続きます。
だからこそ、少ない負担で貯蓄率を上げやすい方法と言えます。
ただし、一度に全部変えようとする必要はありません。
「今月はスマホ料金を見直そう」「来月は保険を確認してみよう」というように、月に一つずつでも十分です。
また、見直した結果、「やっぱりこれは必要だった」と思うものまで無理に手放す必要はありません。
たとえば、格安SIMに変えたものの、通信速度が遅くて毎日ストレスを感じるなら、別の料金プランを探したり、元に戻したりする選択もあります。
大切なのは、ただ安くすることではなく、自分にとって満足できる暮らしを保ちながら支出を減らすことです。
「ここは妥協できる」「ここだけは譲れない」という線引きを決めておくと、無理なく続けやすくなります。
ステップ③:浮いたお金は「なかったもの」として未来へ回す
固定費を見直して毎月3,000円、5,000円とお金が浮いても、そのまま口座に残していると、気づかないうちに使ってしまうことがあります。
人は、手元にあるお金を見ると「少しくらい使っても大丈夫」と思いやすいものです。
だからこそ、浮いたお金は最初から「なかったもの」と考え、別の場所へ移してしまうことをおすすめします。
生活防衛資金が十分に準備できているなら、そのお金を新NISAの積立額アップやスポット購入に回すのも一つの方法です。
投資に回したお金は、普段の生活費とは別のお金になります。
手元から見えなくなることで、自然と使わなくなり、将来の資産として少しずつ育っていきます。
収入が増えなくても、支出が減れば、その分だけ未来へ回せるお金は増えます。
資産形成は、大きな収入を待つことではありません。
今あるお金の流れを少し変えるだけでも、未来は少しずつ変わっていきます。


貯蓄率を高めると、お金も心もラクになる
貯蓄率を上げる目的は、お金をたくさん持つことだけではありません。
毎月少しずつ未来のお金を増やしていくことで、不安が減り、気持ちにも余裕が生まれてきます。
収入は景気や会社の状況で変わることがありますが、家計を整える力は一度身につけば長く役立ちます。
ここでは、貯蓄率を高めることで得られる大きなメリットを見ていきましょう。
時間を味方につけて複利の力を最大限に活かせる
投資では、元本が大きいほど複利の効果も大きくなります。
だからといって、高収入の人だけが有利というわけではありません。
本当に大切なのは、「今の収入の中から、どれだけ未来へ回せるか」です。
たとえば、年収1,000万円の人が毎月10万円を貯めている場合と、年収200万円の人が毎月1万円を貯めている場合では、貯める金額だけを見ると大きな差があります。
しかし、収入に対する割合、つまり貯蓄率で考えると、見え方は変わってきます。
資産形成は、他人との勝負ではありません。
今の生活の中で、無理なく続けられる金額を積み重ねることが何より大切です。
毎月積み立てたお金は、10年、20年という長い時間の中で少しずつ育っていきます。
最初は小さな金額でも、時間と複利が積み重なれば、その差は想像以上に大きくなります。
だからこそ、他人の年収と比べるのではなく、「昨日の自分より少し前に進めたか」を大切にして続けていきましょう。
収入が減っても慌てない「家計の強さ」が身につく
貯蓄率を高めるために家計を整えていくと、「少ないお金でも無理なく暮らす力」が自然と身についてきます。
この力は、お金以上に大きな財産です。
もし転職や病気、不況などで一時的に収入が減ったとしても、「このくらいの生活費ならやっていける」という感覚があるだけで、必要以上に慌てずに済みます。
これまで積み重ねてきた家計管理の経験が、大きな支えになってくれるからです。
反対に、収入が増えるたびに生活水準を上げてしまうと、その暮らしが当たり前になります。
一度上がった生活レベルは、思っている以上に下げることが難しく、収入が減ったときの負担も大きくなります。
だからこそ、日頃から「本当に必要なもの」を大切にする暮らしを続けておくことが、将来への安心につながります。
お金に振り回されるのではなく、お金を上手に使いこなせるようになると、家計だけでなく心にもゆとりが生まれます。
貯蓄率を高めることは、資産を増やすためだけではなく、どんな状況でも落ち着いて暮らせる「人生の土台」を育てることでもあるのです。
まとめ:給料が増えなくても資産は貯まる
収入が多いか少ないかだけで、資産形成が決まるわけではありません。
大切なのは、毎月の手取りの中からどれだけ未来のために残せるかという「貯蓄率」です。
今の家計を知り、無理のない範囲で少しずつ貯蓄率を高めていけば、時間と複利が将来の資産を育ててくれます。
また、生活費を上手にコントロールできるようになると、お金の不安も減り、心にもゆとりが生まれます。
他人の年収と比べる必要はありません。
今できることを一つずつ積み重ねることが、将来の安心につながる一番の近道です。
